株式交換とは?株式交換について知っておくべき7つのポイント

株式交換という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。しかし、具体的にはどのように交換するのか、実際に株式交換の流れについて把握していない方も少なくないでしょう。

株式交換は税金の面のメリットが大きいですが、デメリットもあります。今回は株式交換について知っておくべき知識をまとめました。これから株式交換を検討されている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

1、そもそも株式交換とは?

株式交換とは、完全親会社となる会社が、完全子会社となる会社が発行済みの株式を全て取得する手法です。株式交換実施することによって、親会社と子会社は100%の完全支配関係になります。

一般的には、会社の買収、既にある子会社を完全子会社化にするなど組織再編の場合に、株式交換を活用されます。

2、株式交換のメリットは?

では、同じく会社を買収するのに対して、株式譲渡などのM&A手法ではなく、株式交換にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

(1)ファイナンスがなくてもできる

買手会社(親会社)は買収価格の対価として、新しく株式を発行して売手会社(子会社)の株式と交換することによって買収ができますので、ファイナンスなくても買収ができるのは大きなメリットと言えます。

なお、買手会社(親会社)の株価が高い場合、安く売手会社を買収できるというメリットもあります。

(2)2/3以上の株主同意で完全子会社できる

株式交換の場合、会社同士の合意で手続き進めることができますので、売手会社(子会社)は2/3以上の株主が同意すれば、買収することができます。反対する少数の株主がいても実施することができるのもメリットと言えます。

(3)現状の経営陣でできる

株式交換によって完全子会社になっても、基本買手会社(親会社)とは別法人であるため、現状の経営陣で継続することができます

株式譲渡などによって会社買収するM&A手法より、株式交換は会社の現状に変更ないことから、社員、クライアントなどからの抵抗も軽減されるというメリットがあります。

3、株式交換のデメリットは?

一方、株式交換のデメリットもみてみましょう。

(1)買手会社(親会社)が上場企業の場合、株価が下がる可能性がある

買手会社(親会社)が上場企業の場合、買収のために新しく株式を発行して、自社より株価が低い売手会社(子会社)の株式と交換することによって、株価が下がる可能性があります。

(2)完全子会社しかできない

株式交換は買収する売手会社(子会社)を完全子会社化にする必要があるため、いいところだけではなく、売手会社(子会社)の債務も全て引き継ぐことになります。

株式譲渡と同様、簿外債務などについて注意する必要があります。

(3)現金化ができない

株式交換は株式を交換することによって、売手会社(子会社)を完全子会社として買収することになりますので、現金出さなくてもいいというメリットがある反面、買収した株式を現金化にすることができないのはデメリットと言えるでしょう。

(4)高い専門知識が必要

株式交換の場合、株式交換比率を算出したり、株価を算出するなど高い専門知識が必要になります。

契約書の不備などによりトラブルになりやすいM&A手法なので、専門家に依頼するようにしましょう。

4、株式交換比率と株価の算出

株式交換する時に最も重要である株式交換比率は、どのように決められるのでしょうか。

(1)株価の算定方法

株式交換比率を算定する基準となるのは株価です。株価は下記3つの方法で算出することができます。

  • 将来の収益性を加味して、負債などを差し引く「インカムアプローチ」
  • 過去にあった取引実績に基づく「マーケットアプローチ」
  • 時価純資産で算出する「コストアプローチ」

など、詳しい内容については「株式交換比率とは?3つの算定方法と注意点」を参照にしてみてください。

(2)株式交換比率の算定方法

株式交換比率は、一般的には買手会社(親会社)と売手会社(完全子会社)が交渉して決めることになります。

その基準となるのは、上記で書いた「株価」になります。

単純な例を挙げますと、買手会社(親会社)の株価が25,000円に対して、売手会社(完全子会社)の株価は10,000円の場合、株式交換比率は「1:2.5」になります。

なお、株式交換比率や株式の交換自体に公平性の確認ができないばあい、両社とも「無効確認訴訟」を出張する権利があります。

5、株式交換の場合の税金は?

株式交換の場合、適格株式交換、非適格株式交換によって税金が異なります。

(1)適格株式交換の場合

適格株式交換に満たす場合、簿価で譲渡としたものとみなされ、売却益に対して課税されません

完全子会社の場合、

  • 対価は親会社の株式である
  • 株式交換後も完全支配関係である

などの条件を満たせば適格株式交換とみなされます。

適格株式移転の条件について詳しくは「適格株式移転とは?適格株式移転と認められる要件まとめ」を参照にしてみてください。

(2)非適格株式交換の場合

非適格株式交換となった場合、売手会社(子会社)に対して時価評価を行い、時価により対価を受け取ったという扱いになり、売手会社(子会社)の株主に対して譲渡益課税が課さられます

買手会社(親会社)は、株式交換により取得した子会社の株主取得価格と増加した資本金の差額に関しては、資本金の増額分として処理する必要があります。

6、実際に株式交換する時の流れ

実際に株式交換する時の流れをみてみましょう。

(1)株式交換契約を締結

買手会社(親会社)と売手会社(子会社)は「株式交換契約」を締結します。

なお、取締役会を設けている会社は、取締役会にて承認を得る必要があります。

(2)株主にて事前開示

買手会社(親会社)と売手会社(子会社)は、株主総会が開催される2週間前までに、それぞれの株主に株式交換契約書などを開示しなければなりません。

(3)株主総会にて承認を得る

株式交換を実施するにあたり、株主総会にて特別決議による承認を得る必要があります。

なお、株式交換に反対する株主がいた場合、株式買取請求権が与えられます。

簡易株式交換をする場合、株式総会の承認を省略することができますので、詳しくは「7、簡易株式交換と略式株券交換は?」を参照にしてみてください。

(4)(反対株主がいた場合)買取請求

株式交換に反対する株主から買取請求があった場合、それに対応します。

しかし、簡易株式交換の場合、親会社の株主による株式買取は認められないこと注意しましょう。

なお、親会社の株式以外の金銭などで対価を支払った場合、債権者保護手続きを行う必要があります。

(5)株券提出

完全子会社は株券を発行する会社の場合、効力発生する1ヶ月前に、株券提出の公告を行います。

(6)登記

株式交換契約の効力発生日までに、完全子会社の株式を取得し、親会社は株式交換により、資本金、もしくは発行株式数に変更があった場合、2週間以内に登記を行う必要があります。

(7)事後開示

効力発生6ヶ月間は、親会社及び子会社は株式交換について記載した書類を本店に置く必要があります。

7、簡易株式交換と略式株券交換は?

最後に、簡易株式交換と略式株券交換をみてみましょう。

(1)簡易株式交換

簡易株式交換はあくまでも完全親会社側だけになりますが、完全親会社が交換する財産の金額は純資産の1/5以下の場合、簡易株式交換にあたり、株主総会を省略することができます。

しかし、株主交換に対して反対する株主が持っている株式総数の1/6を超えて、完全親会社が譲渡制限会社の場合は株主総会を省略することができません。

(2)略式株券交換

親会社が子会社の90%以上の決議権を保有している場合、たとえ完全子会社にならなくても、子会社側の株主総会による決議は省略することができます。

しかし、子会社は譲渡制限株式が交付される場合は省略できません。

まとめ

今回は株式交換について書きましたが、参考になりましたでしょうか。

株式交換の場合、現金がいらない、現状の経営陣のままで運営ができるなどのメリットがある反面、完全子会社化にしないといけない、現金化ができないなどのデメリットもあります。自社の状況に合わせて、専門家にも相談しながら進めて頂けたらと思います。

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八木チエ

八木チエM&A INFO プロデューサー

投稿者プロフィール

大学卒業後、7年間IT会社の営業を経験し、弁護士事務所に転職。
弁護士事務所で培った不動産投資の知識を活かし、業界初の不動産投資に特化したメディアを立ち上げ。2018年に株式会社エワルエージェントを設立。不動産投資「Estate Luv」、保険「Insurance Luv」などのメディア運営やメディアのコンサル事業に特化。
M&A業界が盛んになった今、M&Aの情報を正しく伝えたい、もっと多くの人にM&Aの魅力を知ってもらいたいと思い、M&Aに特化したメディア「M&A INFO」を立ち上げ。より有益な情報を多く配信している。

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