薬局M&Aで成功するには?知っておきたい知識まとめ

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厚生労働省は平成27年10月に「患者のための薬局ビジョン」を発表し、今まで分散していた病院前にある門前薬局から、どの医療機関に診察を受けてもかかりつけ薬局に行くという、患者本位の医薬分業の影響と、更なる調剤報酬の引き下げの影響を受け、調剤薬局のM&Aが活発になっています。

その中で、かかりつけ薬剤師がいる薬局の売却を検討したり、かかりつけ薬剤師がいる薬局の買収を検討したり、売手も買手も積極的に情報収集をされていると言えるでしょう。

そこで今回は、調剤薬局のM&Aをするにあたって知っておくべき知識をまとめました。調剤薬局のM&Aを検討されている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

1、調剤薬局のM&Aが活発になった背景は?

調剤薬局のM&Aが活発になった背景としては、

  • 診療報酬・調剤制度の改正
  • 厚生労働省が推進する「患者のための薬局」

の2つです。

(1)診療報酬・調剤制度の改正

一つの背景としては診療報酬・調剤制度の改正です。

①そもそも調剤薬局の報酬体系は?

そもそも調剤薬局の報酬体系はどのようになっているのでしょうか。

調剤薬局から患者に徴収する報酬体系は2つの料金が入っています。

1つ目は、患者に合った薬を調剤する「調剤技術料」です。二つ目は、患者の薬の管理、飲み方の説明となる「薬学管理料」です。

②かかりつけ薬剤師がいない薬局の売上に影響が出る

2018年の改正では、厚生労働省が推進する「患者のための薬局」より、今まで分散していた薬局の利用をかかりつけの薬局を利用することによって、重複していた医療費がおさえられ、かかりつけの薬剤師がいないグループ薬局、病院の前にある門前薬局に影響が出ています。

(2)厚生労働省が推進する「患者のための薬局」

①医薬分業により、薬局が一気に増えた

日本は明治時代にヨーロッパを見習って、医薬分業を始めました。医薬分業を分かりやすく言えば、処方箋を出すのは医師で、薬を調剤するのは薬剤師にという分業です。また、薬剤師大憲章に、医師が薬局を持つことが禁じられています。

医薬分業により、病院の前にある「門前薬局」と呼ばれる薬局が一気に増え、厚生労働省の発表では、平成29年末の時点で全国の薬局数はなんと「59,138」軒もありました。

②「患者のための薬局」の仕組み

「患者のための薬局」の仕組みは、今まで診察を受けた病院の近くにある門前薬局から薬を受取るという仕組みから、どの医療機関で受診しても「かかりつけ薬局」で薬を受取ることに切り替えることです。

これを実施することによって、

  • 薬の服用歴などの情報を一元管理ができる
  • 多剤・重複投薬の防止が防止できる
  • 医療費の適正化

などのメリットが挙げられます。

出典:厚生労働省「患者のための薬局ビジョン

上記の影響を受け、かかりつけ薬剤師がいないグループ薬局は、個人経営の薬局などの買収に乗り出すことによって、調剤薬局のM&Aが活発になっています。

2、M&Aを活用するメリットは?

M&Aを活用することによって、売手買手にそれぞれにメリットがあります。

以下にてそれぞれのメリットについて書いていきます。

(1)売手薬局の3つのメリット

先に売手薬局の3つのメリットについて書いていきます。

①売却益を得られる

創業者にとっては、薬局を売却することによって、売却益を得られるという大きなメリットがあります。

譲渡の場合、譲渡益の20%のみ課税されますので、手元には多くの資金を残すことができます。

老後資金にしたり、新しい事業の立上げ資金にするなど様々な活用方法ができます。

②後継者問題を解決

全国の薬局数の中で、売上TOP10の薬局でも約3割のシェアで、実は調剤薬局の業界では、約7割は個人薬局で構成されています。

少子化など様々な問題によって、個人で経営していた薬局に後継者がいない問題で悩まれている経営者も多いです。

M&Aを活用することによって、売却益を得た上に、後継者問題も解決できるという一石二鳥のメリットが得られます。

③買収先の力を借りてより効率よく運営ができる

大手薬局チェーンに売却ができれば、薬品の仕入れが一括でできることによって、コストをおさえることができたり、売却しても今まで自分の薬局を利用してくれている地域の人に、引き続きサービスの提供できたりなどのメリットが挙げられます。

(2)買手の4つのメリット

続いて、買手の4つのメリットを見てみましょう。

①効率よく事業拡大することができる

新しいエリアに薬局を作ると事業拡大をする際に、既にそのエリアにある薬局を買収した方が、不動産探し、地域調査などの手間を省くことができ、購入後すぐに安定した収入を得られることができます。

②仕入れのコストをおさえることができる

複数の薬局を運営すると、仕入れ薬の量が増え、薬の仕入れ価格をおさえることができます。

仕入れのコストをおさえることができれば、利益増に繋がります。

③他業界からの進出ができる

全く違う業界から調剤薬局の業界に進出するとなると、業界のノウハウがないなど非常に苦労することが多いですが、薬局を買収することができれば、最初から売上を見込めます。

なお、他業界から買収する場合、現在の経営者に1年前後残ってもらい、少しずつ経営を引き継ぐことをオススメします。

④開業の手間が省ける

新しく薬局の開業を検討されている場合、ご自身で全てゼロから準備を始めるのは非常に大変な作業です。また、開業したところで、患者を集めるのも苦労するところです。

M&Aにて薬局を買収すれば、物件の改装費、設備、医薬品の仕入れの費用から、薬剤師、患者まで全て引き継ぐことができますので、開業の手間を省くことができます。

3、薬局をM&Aをする時の期間は?

では、実際に調剤薬局をM&Aをする時の期間はどれくらいかかるのでしょうか。

その期間は一般的には、6ヶ月〜1年前後が一つの目安と言われています。

薬局の規模など様々な条件によって、中には2、3ヶ月でご成約されたケースもあれば、1年以上かかるケースもあります。

従って、売却したい時期が明確になっていた場合、長引くことも想定して早めにM&Aの準備に取り掛かることが大切です。

4、調剤薬局のM&Aで成功させるためにおさえておきたいポイント

せっかくのM&Aですから、ぜひ成功させたいのは売手も買手も同じ気持ちと言えるでしょう。

下記にて成功するために、それぞれにおさえておきたいポイントを伝えていきます。

(1)売手は売却の検討を早めるべき?

上記にも書きましたが、調剤薬局の業界では、実は約7割の個人経営の薬局が占めています。

つまり、個人経営薬局の数がかなり多いことから、売手市場は飽和状態になりやすいとも言えます。

また、今まで2年一回の診療報酬・調剤制度の改正は、年1回にと変更となり、調剤薬局の利益幅が更に縮小することが予想されます。

売却になる調剤薬局が飽和状態の上に、利益も縮小となった状態で売却となると、自然的に売却価格も下がるという流れが見えています。

従って、売却の条件が悪くなる前に、少しでも売却を検討されている方は、余裕持って売却の準備を進められるといいでしょう。

(2)買手がおさえておきたい2つのポイント

買手は買収する前に下記ポイントをおさえておきましょう。

①薬剤師の情報を把握する

地域密着の調剤薬局の場合、実は薬剤師が足りないところも多くあります。

買収する前に現状のままで稼働できるか、事前に在籍している薬剤師の

  • 人数
  • 年齢
  • 給与

などの情報を明確に把握するようにしましょう。

薬剤師が足りない場合、新しい人を雇用する時の人件費をファイナンス計画する必要があります。

②主な処方元となる病院などの理解を得る

門前薬局など地域の病院やクリニックが主な処方元となる薬局を買収する時は、M&Aをしたあとに患者数を減らさないために、買収する前に病院やクリニックの理解を得るようにしましょう。

そこの交渉をせずに、買収後に想定していた売上の達成ができなかったなどの影響が出ることもありますから、忘れずに対応しましょう。

薬局M&Aの現状について詳しくは知りたい方は、下記インタビュー記事をぜひ読んてみてください。

5、M&Aをする時の流れ

続きまして、売手買手別に実際にM&Aをする時の流れについて書いていきます。

M&Aの時は金融機関、証券会社など窓口が多いのですが、ここでは中小企業の成約実績数が多いM&A仲介会社を利用した場合の流れをご紹介します。

(1)売手がM&Aをする時の流れ

先に売手がM&Aをする時の大まかな流れをご紹介します。

  1. M&A仲介会社に相談する
  2. 「提携仲介契約」の締結
  3. 案件化する
  4. トップ面談
  5. 条件調整
  6. 基本合意契約の締結
  7. 買取監査(デューデリジェンス)
  8. 最終契約
  9. 社員や取引先などへ開示

なお、詳しい内容について下記記事を参考にしてみてください。

(2)買手がM&Aをする時の流れ

一方、売手がM&Aをする時は大きく下記の流れになります。

  1. M&A仲介会社に相談する
  2. NDA(機密保持契約書)を締結する
  3. 「提携仲介契約」の締結
  4. 売手会社の詳細資料を検討する
  5. 「トップ面談」を行う
  6. 買収条件などの条件調整をする
  7. 「基本合意契約」を締結する
  8. 買取監査(デューデリジェンス)
  9. 最終契約
  10. 社員や取引先などへ開示

なお、詳しい内容について下記記事を参考にしてみてください。

6、調剤薬局のM&A仲介会社4選

最後に、調剤薬局のM&Aを検討する時に、オススメしたい仲介会社4社をご紹介します。

(1)MACアドバイザリー株式会社

ポイント:薬局業界のM&Aに特化した仲介会社

URL:http://www.mac-advisory.jp/

(2)東京MAパートナーズ

ポイント:調剤薬局専門のM&A仲介会社

URL:https://www.tma-partners.co.jp/

(3)株式会社CBパートナーズ

ポイント:医療や介護、薬局業界に特化したサービスを提供する仲介会社

URL:https://www.cb-p.co.jp/

(4)M&A相談センター

ポイント:業界で24年の実績があるM&Aの仲介会社

URL:https://www.ma-viscas.com/

お問合せフォーム

まとめ

今回は調剤薬局のM&Aについて書きましたが、参考になりましたでしょうか。

少子高齢化の影響により、今の日本は調剤薬局業界に限らず、様々な業界において再編、合併が進んでいます。業界の再編に取り残されないため、タイミングを見て薬局を買収する、有利な条件で売却することがM&Aで成功する大きなポイントと言えるでしょう。

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八木チエ

八木チエM&A INFO プロデューサー

投稿者プロフィール

大学卒業後、7年間IT会社の営業を経験し、弁護士事務所に転職。
弁護士事務所で培った不動産投資の知識を活かし、業界初の不動産投資に特化したメディアを立ち上げ。2018年に株式会社エワルエージェントを設立。不動産投資「Estate Luv」、保険「Insurance Luv」などのメディア運営やメディアのコンサル事業に特化。
M&A業界が盛んになった今、M&Aの情報を正しく伝えたい、もっと多くの人にM&Aの魅力を知ってもらいたいと思い、M&Aに特化したメディア「M&A INFO」を立ち上げ。より有益な情報を多く配信している。

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