【買手会社・売手会社別!】なんでM&Aで失敗したの?その6つの要素と5個の失敗例

日本のM&A件数が年々増加し、大企業に限らず中小企業にも浸透してきました。

  • 会社を売却して売却益を得る
  • 事業拡大のため会社を買収した
  • 後継者がいない問題で会社を売却した

など、様々な理由で、様々なメリットを得るため、会社や事業を売却したり買収したりなど、M&Aを活用されています。一般的にはM&Aの成功率は3〜5割だと言われていて、成功したケースが多くある中、実際にM&Aで失敗したケースも少なくありません。

そこで今回は、売手・買手別にM&Aで失敗する要因をまとめました。これからM&Aを検討されている方は、ぜひこちらの記事を参考に成功して頂けたら幸いです。

1、M&Aの成約件数がどんどん増加している

下記レコフデータが発表したデータを見ていただければわかりますが、2018年のM&A成約件数は3,850件となり、2011年から8年連続の増加となりました。

出典:レコフデータ

M&A業界が盛んになった背景として、

  • 事業承継による後継者不在の問題
  • 業界再編による必要性
  • 効率よくシナジー効果を出せる

などが挙げられます。M&Aの成約件数が増加になる背景について詳しくは「M&Aの件数が年々増加?その背景は?」を参照にしてみてください。

2、M&Aで成功より失敗する件数の方が圧倒的に多い

冒頭にも少し触れましたが、一般的にはM&Aの成功率は3〜5割だと言われています。逆に言えば、5割以上の取引は失敗しているのです。

つまり、M&Aで成功するよりも失敗する件数の方が圧倒的に多いです。従って、周りの方がM&Aで成功したから、自分も成功すると過信するのではなく、きちんとM&Aをする目的を明確にすることが大切です。

以下にて、売手会社、買手会社別に、M&Aで失敗した要素についてまとめました。これからM&Aを検討されている方は、ぜひ同じ失敗を繰り返さないよう、参考にしてみてください。

3、売手会社が失敗する6つの要素

まずは、売手会社が失敗する6つの要素について書いていきます。

(1)情報漏洩

情報漏洩は売手会社が失敗する要素の中で割と上位になります。

会社を売却する情報が漏洩してしまうことによって、社員、クライアントに不安を与えてしまいます。買収を中止になるケースが多くあります。

最終契約に至るまで、書類の準備、デューデリジェンスなどの対応では、関係するメンバーを最小限におさえて、くれぐれも情報漏洩に細心を払うようにしましょう。

(2)関連書類の不足

デューデリジェンスでは、

  • 試算表
  • 通帳
  • 株や不動産などの権利書
  • 総勘定元帳
  • 株主総会議事録
  • 株主名簿

など会社に関連するあらゆる書類を準備する必要があります。

しかし、中小企業は大手企業とは異なって、元々作成していない書類も少なくありません。確認ができない、書類不足により売却ができなくなったケースもあります。

将来、会社の売却を視野に入れている場合、きちんと書類などを用意するようにしましょう。

(3)簿外債務隠しなど不正な対応

株式譲渡、会社分割などのM&Aの手法を利用する場合、会社の簿外債務も全て買手会社が引き継ぐことになります。

会社の会計簿にない、退職金、未払い残業代など将来発生するであろう簿外債務も買手会社に伝える必要があります。買手会社もそれを把握することによって、予算などを立てています。

中には簿外債務などを隠したり不正をする売手会社もいます。デューデリジェンスにて買手会社は慎重に財務について調べていますので、そこでバレて売却が失敗した会社もいます。

例えデューデリジェンスでうまく隠せたとしても、最終契約書では表明保証を追記されていますので、万が一発覚した場合、売手会社が責任を取ることになりますから、そのような不正はやめましょう。

(4)売却に反対する役員や株主がいる

M&Aについて反対する役員や株主がいることは、買手会社にも言えることです。

会社の売却を株主総会にて承認を得る必要があり、その場で反対する株主が分かれば株式を買取るなど対応策を立てることができます。しかし、実際にM&Aを進めている最中にそのようなことが起きると、買手会社とスムーズに交渉することができず、結果失敗で終わってしまう売手会社もあります。

株主総会などできちんと同意が得られなかった場合、早め早めに対策を立てることが非常に重要です。特に重要なポジションについてる役員などには時間をかけて説得するようにしましょう。

(5)業績の悪化により売却が中止になった

M&Aを交渉し始めた頃の業績がよくても、M&Aは大体半年以上かかるケースが多いので、交渉している間に様々な原因によって会社の業績が悪くなってしまい、買手会社は買収する目的を達成できないと判断された場合、M&Aが中止になるケースもあります。

もちろん影響される原因にもよりますが、売却するから気を抜くのではなく、最終契約が終わるまできちんと会社を経営することが大切です。

(6)売却条件など譲歩しすぎ

早く会社を売却したく、買手会社の言いなりに売却条件を譲歩しすぎて、もっと高い価格で売却ができたのにもかかわらず、かなり安い価格など売却条件を譲歩しすぎて失敗した会社もあります。

早く売りたい気持ちもわかりますが、きちんと自分の会社の価値を正しく認識した上で、焦らずに妥当な条件で売却するようにしましょう。

下記事業承継リサーチは、匿名で無料にて会社の価値を概算することができます。大切な会社をたたき売りしないように、まずはご自身で会社の価値を正しく把握しておきましょう。

■事業承継リサーチ

URL:https://ma-value.com/

4、買手会社が失敗する6つの要素

続きまして、買手会社がM&Aで失敗する6つの要素について書いていきます。

(1)デューデリジェンスの確認漏れ

デューデリジェンスはM&Aにおいて、最も大切、重要なプロセスであります。

デューデリジェンスは、

  • 財務
  • 法務
  • ビジネス
  • 人事
  • IT

など様々な分野にて行います。デューデリジェンス行うことによって

  • 売手会社の現状のままで、事業計画の数字を達成できるのか?
  • 今後の経営課題は?
  • 同業他社と比較した時の強みは?

など総合鑑定の結果に基づき、買収価格などの最終買収条件を調整します。

デューデリジェンスは専門家に依頼すると高い費用がかかることから、自社で鑑定を行う会社もあります。やはりデューデリジェンスにて行う作業の範囲が広く、細かいので、ここで確認漏れをしてしまい、多額の損失が出て失敗した会社が多くあります。

従って、デューデリジェンスはきちんと専門家に依頼し、確認の漏れのないよう対応してもらうようにしましょう。

デューデリジェンスについて詳しく知りたい方は「M&Aにおけるデューデリジェンスとは?その内容と注意点について」を参照にしてみてください。

(2)引継ぎ(PMI)がうまく行かなかった

M&Aでシナジー効果を最大限に得るには、契約後の引き継ぎ(PMI)が非常に大切です。

会社や事業を買収したのはいいものの、買収後に優秀な人材が流出したり、クライアントが離れたなどにより、売上が大幅に下落する会社も多くあります。

M&Aは最終契約をしたら終わりではなく、そこからが本当のスタートラインです。最終契約が終わり次第に、いち早く社員、クライアント、取引先などに告知をし、できる限り会社を売却に至った経緯、会社の今後の方向性、体制などについて詳しくお伝えすることを心がけましょう

(3)M&Aの目的を明確ではなかった

中には会社の業績が良かったから、M&Aアドバイザリーにススメられて、M&Aを行った会社もあります。しかし、言われたままに行っただけであって、きちんとM&Aをする目的を明確せずにしたため、結果失敗で終わった会社も少なくないでしょう。

従って、言われたからするのではなく、

  • なんでM&Aをするのか
  • M&Aでどんな効果を得たいのか

など、M&Aを行う目的をきちんと明確にしてから進めるようにしましょう。

(4)シナジー効果が得られなかった

売手会社からはウソな情報を伝えてはいけないですが、会社の業績が悪くなることをあえて伝える義務もありません。

デューデリジェンスにてきちんと売手会社の業績を調べないと、実際に買収後に業績が悪くなり、想定していたシナジー効果を得られない上に、大きく損失してしまった会社もあります。

つまり、M&Aを実施するにあたり、会社だけではなく、業界の動きも調べることが大切と言えます。

(5)ファイナンス計画がミスした

M&Aを実施にあたりファイナンスは必須になります。一般的にはファイナンス計画では会社を買収金額になりますが、中には契約書に表明保証を追記せずに、買収後に簿外債務を発覚してしまい、その請求は全て買手会社が負担することになり、ファイナンス計画より大きく上回って失敗した会社があります。

デューデリジェンスにて簿外債務について調べることはもちろんのことで、万が一な時に備えて最終契約書に表明保証も追記することが大切です。

(6)経営陣の配置ミス

株式譲渡など会社を買収した場合、買収後の統合に時間をかけて行う買手会社も多いです。

その場合、現行の経営陣にそのまま経営をしてもらうケースが多いです。しかし、現行の経営陣からしたら、既に売却した会社になりますので、その時点で前とのモチベーションが異なります。きちんとインセンティブなどを明確せずに経営を任してしまったら、業績が下がったという会社も少なくありません。

会社買収後も現行の経営陣でいくのであれば、事前に報酬、インセンティブなどについて交渉することが大切です。

5、実際にあった失敗例5選

最後に、誰でも知っている会社が実際にあった失敗例をご紹介します。

(1)キリン

キリンは2011年に新興国ブラジルに事業進出する目的で、ブラジルの大手ビール会社スキンカリオールを約2,000億円で買収したのですが、買収後にブラジルの景気が低迷により、2015年に1,100億円の損失が計上しました。

(2)セブン・アイホールディングス

2006年にセブン・アイホールディングスは野村プリンシパル・ファイナンスに1,300億円にて65%の株式を取得して、株式交換より完全子会社化したのですが、累計して2,300億円を投資したものの、業績が伸びず、2010年2月期に個別決算で670億円の評価損益を計上しました。

(3)東芝

東芝は2006年に原発事業を見込みアメリカの原発大手ウェスティングハウスを3,300億円で買収したのですが、2011年の東日本大震災の影響で原発の安全性が問題視され、想定していた収益を得ることができず、2,600億円も損失し失敗に終わりました。

(4)グリー

設立わずか5年目のグリーは、2012年に138億円で年商5億円のゲーム会社ポケラボを買収しましたが、買収後ヒットゲームを作り出すことができず、2015年6月期の決算で63億円の損失を計上しました。

(5)パナソニック

パナソニックは2009年に4,000億円以上を投じて、三洋電機を完全子会社化したものの、リチウム電池事業などの見込み違いにより合計8,100億円を投資にも関わらず、2013年3月期湖月決算で6,000億円以上の評価損を計上しました。

まとめ

今回は買手会社、売手会社別にM&Aにて失敗する要素について書きましたが、参考になりましたでしょうか。

M&Aは様々な活用方法があるとは言え、その分リスクも高くなっています。ぜひこちらの記事を参考に、同じような失敗を繰り返さないようにしていただけたら幸いです。

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八木チエ

八木チエM&A INFO プロデューサー

投稿者プロフィール

大学卒業後、7年間IT会社の営業を経験し、弁護士事務所に転職。
弁護士事務所で培った不動産投資の知識を活かし、業界初の不動産投資に特化したメディアを立ち上げ。2018年に株式会社エワルエージェントを設立。不動産投資「Estate Luv」、保険「Insurance Luv」などのメディア運営やメディアのコンサル事業に特化。
M&A業界が盛んになった今、M&Aの情報を正しく伝えたい、もっと多くの人にM&Aの魅力を知ってもらいたいと思い、M&Aに特化したメディア「M&A INFO」を立ち上げ。より有益な情報を多く配信している。

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